吐玉泉

偕楽園

吐玉泉目次

  1. 吐玉泉について
  2. 吐玉泉の見どころ
  3. 吐玉泉の付近
  4. アクセス
  5. Tiktokで情報を見る
  6. instagramで情報を見る
  7. Googleで口コミを確認
  8. Twitterで情報を見る

吐玉泉について

日本三大名園の一つである「偕楽園(かいらくえん)」は、天保13年(1842年)に第九代水戸藩主水戸斉昭(みとなりあき)により、領民たちと楽しむ憩いの場として造園されました。

広大な敷地に広がる梅園をはじめ桜やツツジ、紅葉など四季折々の花々を楽しめることで年間を通じて観光客が絶えない人気のスポットです。

斉昭は「偕楽園」の造園にあたり、中国文化や日本の陰と陽の思想を取り入れています。

四季折々の花々が咲き誇る陽の世界、そして孟宗竹や杉林、竹林などの木々で覆われた陰の世界。

吐玉泉

そのしっとりとした静けさが広がる陰の世界で、造園以来100年以上にわたって、こんこんと清水を湧き出し続けているのが、今回ご紹介する「吐玉泉」です。

茨城県水戸市は、昔から湧き水が多いことで知られています。

江戸時代から水道水として利用されていた笠原水源をはじめ、豊富な水量を誇る軍民坂湧水や八幡宮で身を清めるために使われていた神明水など、数多くの湧水があります。

樹齢800年とも言われる「偕楽園」の銘木「太郎杉」のそばにも、水戸光圀公(みとみつくにこう)の時代から湧き出している泉があり、当時から眼病に効くと言われていました。

また、茶道の先生が愛用するほどの名水で、偕楽園造成にあたって、その湧き水を「好文亭」の茶室の茶の湯として用いると同時に、湧き水を集めて寒水石でできた井筒から噴出させるよう造ったのが「吐玉泉」なのです。

「吐玉泉」に使用されている寒水石は、正式名は結晶質石灰岩、つまりは大理石の1種です。

茨城県の日立太田の真弓山は寒水石の鉱脈があり、水戸藩領の特産物としても知られていました。

「吐玉泉」にも、その真弓山から採石された寒水石が使われています。

初代の井筒は現在の形とは違い、円筒形でした。

途中で上下を置き換えて使用したため長持ちし、大正3年まで72年にわたって使用されたそうです。

2代目も同じ円筒形で、昭和25年まで36年間、そして3代目になると、いよいよ現在と同じような形となり、37年使われた後、昭和62年に4代目に交換され、今に至っています。

寒水石は、白く硬い大理石の間に柔らかい灰色の縞模様が入っているのが特徴です。

石質は、粗く柔らかいので加工しやすいという利点もありますが、反面、風雨に弱く風化しやすいという難点もあります。

「吐玉泉」でも、絶えず続く水の浸食によって灰色の縞の部分が次第に削られてしまい、途中で新しい井筒に交換する必要がありました。現在の4代目の「吐玉泉」は、重さ10t、高さ1m、幅は2.5mあります。

これだけの巨岩を真弓山で採石した後、一体どのようにして西門から設置場所まで運搬したと思われますか?

実は、重い物を動かす時に、下にコロをいう丸い棒を敷いて移動するという昔ながらの方法で運んだそうです。

トラックやクレーンがある現代社会において、とても原始的な方法で運搬したのです。

途中の竹林や杉林を壊さずに運搬するには、この方法がベストだったのかもしれません。

「吐玉泉」の周りには湧き水があふれています。

それらを一カ所に集水しパイプで導き、落差を利用して清水が噴き出すように工夫した作りとなっており、造園以来一度も枯れたことのない湧水量は、一日1,000tとも言われています。

湧水の噴き出し口からは、清水が玉状になって噴き出している様子を見ることができます。

実は「吐玉泉」の名前も、その様子が由来となっているようです。

「吐玉泉」が造設された際に、夏なお冷たく玉(ぎょく)のような澄んだ水をたゆまなく吐くので、斉昭が「吐玉泉」と名付けたとされています。が、実は名前の由来には別の説もあるようです。

斉昭は中国渡来の儒学の教えを重要視していました。

実際、偕楽園の造園にあたっても、儒教、神道、学問、政治を調和させた庭園の完成を目指していたようです。

そのような中で、儒教の始祖である孔子が生まれる時に「麒麟(きりん)が玉を吐いた」と書かれた故事から、清水だけでなく儒学の教えも湧き出る泉となるようにとの思いをこめて、「吐玉泉」と名付けたとも言われています。

さらに同じような作りの泉が、もう一つあります。

「偕楽園」の近く、「桜山」の崖下で水を噴き上げ続けている「玉龍泉(ぎょくりゅうせん)」です。

斉昭は、「偕楽園」と「桜山」を対のものとして整備しており、「吐玉泉」の対として造られたのがこの「玉龍泉」でした。

「吐玉泉」と同じく、高低差を利用して造られた日本最古の噴水ともいわれており、その噴き出す水の高さは2mほど。

造られた当時は3mに及ぶ高さがあったと言いますから驚きです。

斉昭はこの「玉龍泉」で人々を楽しませただけでなく、農業にも活用することを教えたといわれています。

「吐玉泉」から水戸斉昭という人物像が垣間見えるという点でも、とても興味深い泉と言えますね。

吐玉泉の見どころ

偕楽園- 吐玉泉

太陽がさんさんと当たる梅林が印象的な「偕楽園」ですが、水戸斉昭は、園内に建てた「偕楽園記碑」の中でこう記しています。

天には太陽と月があり、地には山と川があるように、あらゆるものは陰と陽の組み合わせにより造られており、全ての生き物はその陰陽によって命を保っている。

このことからも、斉昭が陰と陽のバランスをとても大事にしていて、「偕楽園」の造園においても陰と陽の世界を造ろうとしたことがよくわかります。

「偕楽園」の中で陰にあたる場所にある「吐玉泉」は、あまり光のさしこまない竹林や杉林などうっそうとした木々の間で、樹齢800年の巨木「太郎杉」に見守られながら静かに佇んでいます。

実際に見ると、石の大きさにまず驚かれることでしょう。こんな巨大な石をよくここまで運んで来たものだと感心される方も多いはずです。

寒水石のキラキラ輝く白さは、陰の世界とは相反するように際立ち、溢れ出る清水を受けている水盤の中は少しブルーがかっていて、その白とブルーのコントラストは、いつまでも眺めていたくなる美しさです。

そして、少し「吐玉泉」から距離を取り、ゆっくりと1周してみましょう。水の浸食で削れた縞模様の入った寒水石に、歴史や時間の経過を感じることができますよ。

耳を澄ますと聞こえてくるのは、小鳥の鳴き声と水がコロコロと湧きす音と、寒水石を流れ落ちる水の音だけ。

その音とともに噴き出し口から絶え間なく湧き出す清水を見つめているだけで、きれいな清水と同じように心が浄化されるような気持ちになると、訪れた方の癒しの空間となっています。

また、紅葉の季節には散紅葉が水面に浮かぶことも。

たとえ陰の世界であっても、四季折々の風情を感じることができますよ。

「偕楽園」には、好文亭表門、御成門、東門、南門、西門と5つの入口があります。

大型バスの駐車場のそばにある東門から入ると、梅林など華やかな景観が待っていますが、本来の楽しみ方としては、まずは正門である好文亭表門から入ることをおすすめします。

好文亭表門から入り一ノ木戸を抜けると、妄想竹林や杉林、熊笹に囲まれた薄暗く静寂に包まれた林道が続き、そこから一気に幽玄な世界へと導かれます。

さらに先に進んで下を覗くと、木々の間から真っ白な「吐玉泉」が垣間見えます。

「吐玉泉」で心を浄化した後、林を抜ければ明るい陽の世界が目の前に広がりますよ。

斉昭が求めいていた陰と陽の世界観を肌で感じ、美しい景色を眺めながら歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

吐玉泉の付近

吐玉泉付近のおすすめの観光施設についてご紹介します。

「常磐神社」

常盤神社

偕楽園から徒歩8分程の所にある神社で、かの有名な水戸黄門様こと徳川光圀公と徳川斉昭公が祀られています。

ご利益は学業成就、商売繁盛、交通安全などで、合格祈願に訪れる受験生に人気の神社です。

境内には社殿や能楽殿の他、光圀公や斉昭公の遺品や水戸史学の資料、さらには光圀公の等身大の木像や陣太鼓などが展示されていている義烈館があり、水戸の歴史に触れることができます。

また、常盤神社の人気は何といってもお守りと御朱印。黄門様が持つ印籠をモチーフにしたお守りと、三つ葉葵の印が入った御朱印目当てに訪れる方も多い神社です。

千波町公園

・千波公園(ちなみこうえん)

千波湖の周りに豊かな自然が広がり、市民や観光客の憩いの場となっている千波公園。

湖では、コブハクチョウをはじめ、コクチョウ、カンムリカイツブリ、ユリカモメなど、さまざまな鳥たちを見ることができます。

また、湖畔は散策道が整備され、春は桜、夏は花火、秋は紅葉、そして冬は雪景色など、四季折々の景色を楽しめますよ。

貸しボートやレンタサイクルもあり、おすすめです。

茨城県庁展望ロビー

・茨木県庁展望ロビー

偕楽園から車で13分の茨木県庁には、誰でも無料で利用できる地上100mの25階展望ロビーがあります。

全面ガラス張り、360℃パノラマビューの展望台からは、関東平野を一望できる他、晴れた日には筑波山や太平洋まで望むことができます。

夜は22時まで利用可能ですから、夕陽や夜景などの絶景も楽しめ、カップルにも人気のスポットになっています。

アクセス

「吐玉泉」までのアクセスについて、ご紹介します。

水戸ICの標識

車をご利用の場合は、常磐自動車道からは水戸ICで降りて約20分。北関東自動車道からは茨城東ICまたは水戸南ICで降りて約20分で偕楽園に到着します。

電車をご利用の場合は、JR常磐線水戸駅で下車後、水戸駅北口4番乗り場(茨城交通)からバスに乗り、好文亭表門偕楽園東門偕楽園前で下車すると偕楽園まで徒歩3~5分です。

また、水戸駅北口番6乗り場(関東鉄道)からバスに乗り、偕楽園千波湖下車。徒歩5~10分で到着します。

電車に関しては、梅まつりの期間中だけ「JR偕楽園臨時駅」が開設され、開設時間内の下り特急列車と普通列車が臨時停車したり、乗り換えなしで仙台・大宮方面から偕楽園駅まで乗車できる「直通臨時特急列車」が運行されますよ。偕楽園臨時駅で降りたら、偕楽園はすぐ目の前です。

水戸観光をする際には、水戸の観光施設や商店街をバスで周遊できる「水戸漫遊1日フリーきっぷ」もおすすめです。

大人400円でバスに1日乗り放題になる他、偕楽園好文亭をはじめ、弘道館、茨城県立博物館など観光施設の入場料が割引になる特典もついてとてもお得ですよ。

きっぷはオンラインまたはJR水戸駅のチケット売り場で購入することができます。

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